この度、木平健治前会長のあとを受けまして、2023年4月より日本病院薬剤師連盟の会長に就任しました武田泰生でございます。連盟会員の皆様におかれましては、日頃から当連盟の活動にご理解とご支援をいただき誠にありがとうございます。医療DX等のデジタル化・機械化の導入に伴い、病院薬剤師業務も大きな転換期を迎えております。変革に対応すべく連盟も活動してまいりますので、引き続き、ご支援を賜りますようどうぞ宜しくお願い申し上げます。

 超高齢社会における医療・介護の効果的な提供体制の構築を目指して2015年にスタートした地域医療構想は、地域の特性に合わせた「病院機能の分化と連携」「地域包括ケアシステムの構築」を両輪として、急ピッチで改革が進められています。薬の専門家として薬学的管理を担う薬剤師は患者の薬物治療を適正に管理し、患者の転院・在宅医療・外来診療等への移行に伴って、薬物治療管理を切れ目なくつなぐ役割を担うことが求められています。 薬剤師の職能は、モノ(薬)を対象とした業務からヒト(患者)を対象とした業務へと拡大してきました。DIがその端緒となり、特に病院・診療所等においてはTDMなど医薬品の適正使用に資する業務が取り入れられ、更には薬剤師が病棟に常駐し医薬品の適正使用・薬物療法の管理・適正化に関与することで、チーム医療の一員としての薬剤師の役割が認識されるようになっています。更には、施設内にとどまらず医療連携により施設間及び地域における医療・介護への貢献も進められているところです。この様に、病院薬剤師の職能は大きく拡大し、病院薬剤師の評価・期待も高まってきています。

 このような病院薬剤師の職能の拡大・充実は先人達の並々ならぬ努力によるものです。現在、医師の負担軽減に端を発したタスクシフト・シェアの推進が図られていますが、一部の施設で始まる新しい取組が広く普遍化するには、その取組が医療の質の向上に有用であることは勿論、それを支えてくれる基盤として、病院薬剤師の活動範囲の政省令による裏付けと診療報酬による経済的支援が欠かせません。その例として、診療報酬上の「薬剤管理指導料」や「病棟薬剤業務実施加算」は、医師との協働による薬物治療管理への更なる貢献の期待であり、さらに「退院時薬剤情報連携加算」や「連携充実加算」などは薬局薬剤師と協力して効率的で生産性の高い薬物治療管理の体制整備と地域特性に見合った過不足ない医薬品提供体制の構築への期待であると考えられます。

 医療・介護制度のなかでの薬剤師の地位および職能をさらに拡大し、医療・介護制度における薬剤師の立ち位置を確固たるものにするには、経済的基盤としての診療報酬の獲得と薬剤師職能の裏付けとなる政省令が極めて重要です。その目的のためには、薬剤師そのものを十分に理解し、国政の場で薬剤師のために活動して頂ける議員の存在が不可欠になります。

 日本病院薬剤師連盟は、党派を超えて薬剤師議員を国政の場に送り出すための支援に取り組んでいます。病院・診療所および介護施設に勤務する多くの薬剤師の皆様には、活動の趣旨をご理解頂くと共に、ぜひ本連盟にご加入頂き、ご支援とご協力を賜りますようどうぞ宜しくお願い申し上げます。


令和5年4月
日本病院薬剤師連盟
会長 武田 泰生



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